私たちの取組み

ご法話

子どもへのメッセージ「おぶっぱん」
橘 行信

2020/03/16

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おばあちゃんの家に泊まった。朝起きると、キッチンでおばあちゃんがご飯をよそっている。お茶わんじゃない、金色の、へんな形のうつわに。

「それなに?」
「おぶっぱんだよ」
「おぶっぱん? 」
「おぶっぱんは仏さまにお供えするご飯だよ」

おばあちゃんは、そのおぶっぱんを持っておぶつだんの前に行った。手を伸ばして仏さまの前におぶっぱんをそっと置いた。

「仏さま用のご飯?仏さまってご飯食べるの? 」
「仏さまはご飯食べんよ」
「じゃあなんでお供えするの? 」
「お供えは感謝とお礼なんよ。仏さまはな、私らのいのちがどうできとるか教えてくれるんや。ご飯は当たり前にあるんやない。料理する人。食べ物買う人。それを売る人。買うお金をかせぐ人。食べ物を作る人。食べ物そのもののいのち。それを私らは食べとる。それだけ多くのいのちが私らのいのちを支えてくれとる。何も知らずに寝とる間も多くのいのちがずっと途切れず手間をかけ支度をしてくれとる。そうやってできとるのが私のいのち。つなっがとるんよ、全部」
「そっか」
「だからな、自分が勝手していいいのちなんてもんはないんよ。支えられて心配されて育てられとるいのちしかないんよ。仏さまのおぶっぱんはそれを教えてくれる。教えてもらったお礼せな」

おばあちゃんはそう言って、おぶつだんに手を合わせた。僕も一緒に手を合わせた。
食卓に座ると、あっという間にあったかいご飯とおかずがたくさん用意された。僕が寝ている間におばあちゃんが準備してくれていた。おかあさんも毎日そうなんだね。
仏さま、教えてくれてありがとう。

多くのいのちとみなさまのおかげにより このごちそうをめぐまれました。
 深くご恩を喜び ありがたくいただきます。

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