私たちの取組み

ご法話

子どもへのメッセージ「お念仏を称えてごらん」
内田 正祥

2021/05/20

もう20年以上前に、ある先生から、こんなお話を聞きました。

あるお寺の門の所に、近くに住んでいる3歳の女の子が夕方5時くらいになると毎日立っていました。お寺の門の所は少し高くなっていて、大好きなお母さんがお仕事から帰って来るのを、一番早く見つけることができる場所だったからです。

ある日のこと、突然の事故でお母さんが亡くなってしまいました。まだ小さい女の子には、何が起きたのかが分からずに、毎日、夕方になると門のところで、帰って来るはずのないお母さんを待ち続けていたそうです。

そのことに気がついたお寺の住職さんは、その女の子に「お母さんはね!仏さまになられたんだよ。だから、どれだけ待ってもお母さんは帰って来ることはないよ!」「お母さんに会いたいなぁと思ったら、本堂においで、そして、阿弥陀様に掌を合わせて『なんまんだぶ』『なんまんだぶ』と、お念仏を称えてごらん。きっと、そこに仏さまとなったお母さんが来ていてくれるよ」と話しました。

それから、女の子は毎日のようには、門の所に立たなくなったそうです。でも1週間に一度くらいは、門の所に立つそうです。しばらくお母さんを待ちますが、帰って来ないとわかると、本堂に上がって来るそうです。そして、住職さんから教えてもらったように、阿弥陀さまの前に座って、合掌して「なんまんだぶ、なんまんだぶ」と、お念仏を称えた後、立ち上がると、ぐるっ~と天井あたりを見渡しながら、「おかあさん...おかあさん...おかあさん...」と、しばらく大好きなお母さんに呼びかけてから、お家に帰って行くそうです。

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