私たちの取組み

ご法話

子どもへのメッセージ「悲しい気持ち」
日下賢裕

2021/12/23

「ココ」という名前のゴリラを知っていますか?

ココはとても賢く、1000語以上の言葉を覚え、手話を使って人と会話ができるゴリラです。そんなココには、友だちがいました。ボールという名前のネコです。ココとボールはとても仲良く、いつも一緒に遊んでいました。ところがある時、ボールは交通事故で亡くなってしまいます。ココの飼育員さんがそれを手話でココに伝えると、ココは涙を流し、大きな声で泣いたそうです。そして手話で「悲しい」と話したそうです。

「悲しい」という感情は、人間だけのものと思いがちですが、実はそうではないことがよくわかるエピソードです。そして「悲しい」という気持ちは、ただ単に自分が嫌な思いをしてつらいということだけではなく、他のいのちの苦しみを我が事のように感じる、共感の心であることも、ココは教えてくれているように感じます。

「悲しい」気持ちは、できることならあまり感じたくないものかもしれません。でも実は、他の人の痛みや悲しみを知る上で、とても大切な心なのではないでしょうか。

仏教には「慈悲(じひ)」という言葉があります。この場合の「悲」という心は、あわれみの心、他の人の抱(かか)える苦しみをなんとかせずにはおれないと思う心であると言われます。つまり「悲しい」という心は、この上ない優しさをともなった心であるとも言えるでしょう。

そしてその「慈悲」という優しい心で私に寄り添ってくださるのが、阿弥陀さまです。いつでも私の悲しみに寄り添い、常に私のことを思ってくれています。「悲しい」ことはつらく苦しいことですが、どうかそんな時には阿弥陀さまのこと思い出してください。そしてできることなら、悲しい思いをしている人に出会った時、ほんの少しでも、優しい言葉をかけてあげてくださいね。

一覧へ戻る